可茂ジュニアウィンドオーケストラ楽団設立の理念

日本は吹奏楽大国である。

日本に吹奏楽を根付かせ、発展させてきたのは、中学、高校の部活動である。

今、その部活動が揺らぎ始めている。教員の働き方改革、部活動の自由化など、部活動を取り巻く環境が大きく変化してきたのだ。その影響が吹奏楽界にも波及してきた。この地域も例外ではない。部活をやりたくてもやれない子や、その保護者の方々の声が聞こえてきた。

「子供達に思う存分、音楽をする場を!!」

もう学校や行政には任せてはいられない。地域の為、子供たちの為、地元地域に恩返しをする時がきたのではないか…。そんな想いが「可茂ジュニアウィンドオーケストラ」の設立につながった。

楽団が目指すもの

音楽を伝えるだけじゃない。音楽の奥には、周りには、生きて行く上で大切な事がたくさんある。吹奏楽は大勢で1つの音楽を作り上げる、言わば共同制作作業。他人と何かを成す為には、どうすれば良いのだろうか。どうやって人と接し、どうやってオーケストラに貢献すれば良いのか。その中に人生のヒントがたくさんある。

学校では、家庭では得られないモノが、この吹奏楽団という社会にはある。

不公平から学ぶ

社会では平等を声高に叫ぶが、吹奏楽団で演奏するという芸術活動は不公平なものである。

自分もあの子もこの子も主役…そんな事は有り得ない。吹奏楽は楽器によって主役、脇役、端役、悪役、様々な役割が混在する。同じ楽器の中でも、司令塔で目立つ1番パートがあるかと思えば、目立たず縁の下を支える3番パートもあり、自己を殺して、ひたすら繋ぎ役に徹する2番パートもある。役割の違う、これら全ての人が揃って、はじめて演奏が成立し、聴衆が喜ぶ音楽を作り上げる事ができる。

その時、主役のみならず、脇役も端役も、そして悪役までもが幸せになれる…それが吹奏楽だ。

「音楽的向上と人間的成長」を掲げる!

コンクールに出場し、賞に一喜一憂する…この考えから脱却しなければならない。音楽的向上はコンクールへの取り組みによってのみ得られるものではない。賞取りレースではない、正常な音楽活動を、音楽体験を、多くの子供達に味わって欲しい。それこそが真に音楽的向上をもたらすものである。

もう学校単位で吹奏楽をする時代は終わった。これからは学校の枠を越え、この広い地域で、幅広い層の仲間達と音楽をする時代だ。もう吹奏楽は部活動のものではない。地域社会のものだ。地域社会が吹奏楽を通し、青少年の育成、地域文化の向上を図っていかなければならない。

自主的に、複数の学校から、小学4年生から高校3年生までの幅広い層が「吹奏楽を楽しみたい!」という目的の為に集まり、その中で多様な価値観に触れ社会を学び、互いに尊重しあい友情を深め、互いの音楽に触れ切磋琢磨していく…そんな活動を通して人間的成長を図りたい。

我々、可茂ジュニアウィンドオーケストラはこれらの理念を掲げ、新しい日本の吹奏楽文化を全国に発信する事を目的とする。